コンテンツ
はじまったSteam離れ
PCゲームをどこで買う?と聞かれてまず思いつくのは「Steam」ではないでしょうか。Steamはパソコンゲーム用の配信サイトで、世界一の品揃えと実績をもつ最大手の デジタルゲーム配信プラットフォームです。有名なAAAタイトルからインディーズ作品まで幅広く商品が並び、購入も簡単な入力で完了。ゲームの導入や削除も簡単で、MODやユーザー間の連携もできる大変使い勝手のよいサービスです。しかし、ここ最近になって大手ゲーム会社がSteamでの販売を控え、別のサイトや独自ストアでの販売へ移行しつつあります。その流れが顕著に表れたのは2019年1月10日、Ubisoftが同年3月に提供予定の「DIVISION 2」の販売をSteamからEpic Gamesが提供するプラットフォーム「Epic Games Store」へ変更すると発表したことです。Ubisoftは「アサシンクリード」「レインボーシックスシージ」「ファークライ」などの人気シリーズを抱えていて、これまでPC版はSteamや自社ストアを中心に販売してきました。
引用元/ The Division 2 公式サイト
Epic Games Storeの魅力
では、Steamとは異なるEpic Games Storeの強みとはどのようなものなのでしょうか。簡単にまとめます。
手数料が安い
Steamでは売り上げたゲームの70%が開発メーカーの報酬となりますが、Epic Games Storeでは88%と報酬率が上がります。例えば6,000円のゲームを販売した場合、Steamでは4,200円だった報酬が5,280円になる訳です。かなり大きな違いですね。
Unreal Engine ロイヤルティの放棄
Unreal EngineとはEpic Gamesが提供するゲーム開発用のエンジンです。このエンジンを利用して開発されたゲームを Epic Games Store で販売する場合、売り上げでかかるはずのエンジンのロイヤルティを不要としています。これはゲーム開発メーカーとしては利益率を上げられるので大きなメリットとまります。(Unreal Engineを使用したゲームを販売する場合、四半期ごとの売り上げが3000ドルを超えると、売り上げの総額に対して5%のロイヤルティが発生することになっています)
クリエーターサポートプログラムの採用
クリエーターサポートとは、ゲームをプロモーションしたクリエーターに報酬が支払われる仕組みのことです。例えば、ゲーム実況した動画を作成すると、その貢献度に応じて Epic Gamesから報酬を受け取ることができます。(サポートを受けるにはEpic Gamesが行う審査に合格する必要があります) 公式サイトのリンクを掲出しておきます。詳しくは下記リンクを参照ください。
引用元・リンク/Epic Games Store
PCゲーム販売方法の多様化
Steamは、例えるならZOZOTOWNのようなオンラインサイトです。業界最大手で利用者が多いため売り上げの機会を最大化できる反面、販売時の手数料が高くとられます。
Epic Gamesは この仕組みにメスを入れ、本格的にゲーム販売に乗り出しました。今後はMODのサポートやユーザー同士の連携も強めていくとのことです。
販売利益やサポート面の違い以外にも、オンラインゲームを販売する際は自社サイトや特設サイトだけで提供するケースが多くなります。World of Warcraft、Final Fantasy XIV、ファンタシースターオンライン2、Fallout 76などのビッグタイトルもSteamではなく独自のプラットフォームを採用しています。オンラインゲームの特性上、アップデートによる改善やユーザーとのつながりをスムーズに行うのが狙いのようです。
このようにPCゲームの販売方法はマーケットが成熟するにつれ多様性を持ち、細分化していく傾向にあります。
そこで、今後重要になる販売サイト(プラットフォーム)をまとめましたのでご紹介します。特にPCゲームファンの方々には重要な購入サイトとです。
ブックマーク必須の主要7サイト
Steam (Valve)
引用元・リンク/Steam
やはり最大手はSteamです。Steam離れ傾向が見えるとはいえ、間違いなくこの先も最重要なストアであることに違いありません。 定期的に実施される大型セールは最大90%OFF。大作からインディーズまで、コンソール版では考えられない価格で購入することができます。MODのサポートやコミュニティ間の連携も強化されており、世界屈指のユーザーフレンドリーなプラットフォームとなっています。
Epic games store ( Epic games )
引用元・リンク/Epic games store
記事内ですでに触れたサイトです。アメリカに拠点を置くゲーム開発会社 Epic Gamesが提供するプラットフォームです。 まずはWindowsとMac対応タイトルを配信し,2019年にはその他のプラットフォームにも対応していく予定となっています。Steamよりも低く設定された手数料とゲーム実況者のようなクリエーターへの報酬システムで、今後Steamの存在を脅かすと噂される配信サービスです。隔週でゲームソフトの無料配布が行われるなど、ゲームファンだけでなくゲーム業界全体が視線を向けるサービスを行っています。 Epic Games は、Gears of warシリーズやフォートナイトといった人気ゲームを提供しているだけでなく、ゲームエンジン「Unreal Engine」の所有者でもあり、今後ますますゲーム業界で力を持つのではないかと予想されます。
Battle.net (Bllizard)
引用元・リンク/Battle.net
ゲーム業界で世界第3位のシェアを持つアクティビジョン・ブリザードの子会社として、デベロッパーとパブリッシャーの双方で事業を行っている「Blizzard Entertainment」が運営する配信プラットフォームです。 World of Warcraftやオーバーウォッチ、Diabloシリーズといったビッグタイトルを提供しています。BllizardはゲームのサポートやSteamのようにゲームが自動でアップデートされる他にも、セーブデータのクラウド保存やマルチプレイを快適に遊べるようにマッチメイクやソーシャルネット機能も充実しています。
Origin ( Electronic Arts )
引用元・リンク/Origin
アメリカの大手ゲーム販売会社であるElectronic Arts(以下:EA)が提供するデジタル配信プラットフォームです。EAのビッグタイトルであるバトルフィールドシリーズや、バトルフロントシリーズ、Simsシリーズを中心に販売しています。他にも、ウィッチャー3やアサシンクリードシリーズなども取り扱いがあり、他パブリッシャーとの提携も強化されつつあります。本記事の執筆時点(2019年1月20日)では大型最新作「Anthem」の発売を控えています。年に数回大規模なセールも行いますので、大作を安価で購入できるのも嬉しいですね。
GOG (CD PROJEKT)
引用元・リンク/GOG
ウィッチャーシリーズで有名なポーランドのゲーム会社「CD Projekt」が提供するゲーム配信プラットフォームです。GOGとは「Good Old Games」の略で、提供の始まった当初はレトロゲームが専門でした。現在は新作ゲームの販売も行っています。自社のウィッチャーシリーズをメインに販売し、DarksidersシリーズやDivinityシリーズ、 他には海外のインディーズゲーム といった日本ではあまり馴染みのないゲームを取り扱っています。CD Projektは話題の超大作「Cyberpunk 2077」の発売を控えていますので、PCゲーマーは目が離せない企業ですね。
Bethesda.net (Bethesda)
引用元・リンク/Bethesda.net
アメリカのコンピューター会社 Bethesda Softworks, LLC(以下:Bethesda)が提供するプラットフォームです。BethesdaといえばFalloutシリーズやStyrimといった大型オープンワールドゲームが有名ですね。2015年に発売されたFallout4は初日出荷で1,200万本を突破し、売り上げは約920億円を上回りました。MODへの対応がとても寛容な企業で、世界中のMOD製作者がBethesdaのゲーム用(特にTESシリーズやFalloutシリーズ)に多数のMODを制作しています。また、BethesdaはMODから得たノウハウを次のゲーム開発に活用するケースもあります。今後も 新作アクションシューティング「RAGE2」やSkyrimの続編となる大型オープンワールド「The Elder Scrolls VI」の販売を控えています。
UBISOFT STORE (Ubisoft)
引用元・リンク/UBISOFT STORE
フランスに本社を置くコンピュータゲームの開発・販売会社 Ubisoftが提供するプラットフォームです。アサシン クリード シリーズやレインボーシックス シージ、Far Cryシリーズなど多数の人気ゲームを提供しています。Uplay(プラットフォーム版)のユニークなシステムは、ゲーム内で実績を解除するとUポイントが獲得でき、このUポイントをゲーム内のアイテムと交換できたり、セール時の割引に適用できる点です。PC版はUbisoft Storeも用意されており、より簡単にゲームを購入したりSteamでは取り扱いのないゲームを購入することもできます。
Steamの半額で買える!? 安全なゲームキー販売ストア
Green Man Gaming
引用元・リンク/Green Man Gaming
SteamやUplay、Originで利用できるゲームのプレイ権利(ゲームキー)を安価で販売している海外サイトです。頻繁にセールを行っており、20%以上の割引クーポンを発行するなど、とにかくゲームを安く購入できます。 ほとんどのゲームキーは正規ルートで販売されているので、他のゲームキー販売サイトと比べ安心して利用できます。 (よくわからないゲームキー販売店で購入すると、後々ゲームがプレイできなくなったり、そもそもゲームを解除できないなどのトラブルがあります。) 注意点としては、購入予定のゲームが日本語に対応しているかを事前に確認する必要があります。
Gamesplanet
引用元・リンク/Gamesplanet
こちらもGreen Man Gaming と同様、Steamなどでで利用できるゲームキーを販売しているサイトです。全てのキーはパブリッシャーから直接仕入れているオフィシャルリテイラーなので、安心して利用できます。 Gamesplanetの素晴らしい点はそのサポート体制です。各コメント欄に質問を記入すると、サポートスタッフが対応してくれます。海外の販売サイトでコメントによるフォローアップを行っているところは少ないので、困ったときや不明な点がある際は重宝します。新作もSteamと比べて安く購入できるケースが多いので、PC版のゲームを買う際はチェックしておいて損はありません。
バンドル販売の大手ストア
Humble Bundle
引用元・リンク/Humble Bundle
今までご紹介した配信プラットフォームや販売サイトとは違い、主にゲームをバンドル販売しています。Pay what you want(支払いたい分だけ支払う)方式によるバンドル販売を特徴とし、日本人としては馴染みの薄いシステムとなっています。 簡単にご説明すると、1ドル以上支払うと複数のゲームを購入可能で、さらに6ドル以上支払うか全ユーザーの平均額以上を支払うと、さらに多くのゲームと特典を得られるといったシステムです。 なんぜこのような安い価格でゲームを販売ができるかというと、売り上げの一部を病気で苦しむ子供たちへプレゼントするなど、チャリティーによる活動を行っているからです。バンドルだけでなく単品での購入も可能なので、一度サイトをのぞいてみると掘り出し物がみつかるかもしれません。
ゲームの販売手法は時代とともにどんどん変化しています。 しかし、記事でご紹介した10サイトは今後も一定の販売力を持ち続けると思います。特にゲームのデベロッパーが販売を行っているプラットフォームは重要で、独自のサービスやサポートを提供し続けるでしょう。ランチャーのダウンロードなども含め、いつでもアクセスできるようにしておきたいですね。新たな販売手法やプラットフォームが登場したら改めてご紹介させていただきます。